「こんにちは、APOLLO一級建築士事務所を主宰する黒崎敏です。2000年事務所設立以来、東京を拠点に100以上の建築をデザインしてきました。2007年より韓国ソウルに、2013年中国鄭州市サテライト拠点を置き、住宅や商業施設等、複数のプロジェクトが進行しています。今日は愛知県に完成したプロジェクト2つを紹介します。 」
GAZE

愛知県大府市に建つ「GAZE」は現代美術のコレクターの建主のためのギャラリー兼住宅である。ガラスと鉄筋コンクリートにより構成された一階基壇の上部には、木造の箱が二層にわたり搭載されている、いわゆる混構造である。上階ほど床面積が大きくなるプランであり、ガラスの箱の上に微妙に色味が異なるガルバリウム鋼板横葺きの2、3階の箱が搭載されたプロポーションには特有の浮遊感が生まれている。
2階平面が跳ね出しているのは1階部分に2台分のピロティーガレージを確保するためである。また、ギャラリーの視認性が求められたため、道路面を全面的にガラス張りにした。半地下のサンクンとすることで求心力を高めつつ、ギャラリー内部に直接光が入らないようコンクリートのパーテションを設け、訪れた人のみが天井反射光によりアートが鑑賞できる仕組みにしている。
住宅専用の玄関先にはアプローチ階段を設けた。プライベートスペースと水廻りを集約した2階や、3階のファミリールームにはダイレクトアクセスが可能で、階段上部に設えたトップライトやインナーバルコニーから降り注ぐ自然光により空間には柔らかい表情が生まれている。
あえてモノトーンで設えた内装や家具のデザインはシンプルを極めたファミリールームで、生活空間でありながらも、将来的に施主のアートコレクションが飾られるオルタナティブなギャラリーとなる予定。インナーバルコニーなどを駆使しながら、外部と直接的に繋がる開口部を最低限に抑えることで、プライバシーを重視しながらアートと共存するビューイングルームである。
NEST


名古屋駅から程近い商業エリアに建つ狭小住宅は、わずか13坪の敷地に建つ鉄骨造3階建で、建築面積は10坪に満たない。ブラウンの木製ルーバーとグレーの吹付外壁で覆われたシックな外観は、さながら鳥の巣のようだ。
1階には小型自家用車のピロティーガレージを設け、アプローチ奥には玄関と主寝室、2階には子供室と水廻りをコンパクトに設えた。寝室にはベッドマットが納まるベッドを造作するなど、空間そのものを家具として扱うことでコンシャスな空間に仕上げた。また、ヘッドボードに設えた間接照明が「小ささ」ならではの居心地をつくりだす装置になっている。
2階に設えた子供室はあえてオープンな空間とし、階段と連続した多目的空間とすることで家全体にもフレキシビリティーを与えている。小住宅だからこそ、機能だけではなく隙間のような空間が必要なのだ。3階には将来母娘で楽しく調理ができるコックピット型のキッチンを設け、コンパクトな食卓テーブルと接続することで家の主役になるようにした。また、造作キッチンと内装をラワン合板で統一することで小さな空間には一体感が生まれ、繊細なディテールワークが心地良さを生みだしている。
吹き抜けのあるリビング上部に設けたトップライトからは十分な光が降り注ぎ、空を一望できる開放的な空間が生まれている。バルコニールーバーは室内からの視線を通しながら、外からの視線をシャットアウトする役割を担い、プライバシーを調整する装置として機能。敷地条件を最大限に生かしつつ、建主のオリジナリティーを実現した都市住宅のプロトタイプといえよう。
Okinawa Hotel Project

ただいま沖縄では、北部エリアのリゾートホテルやヴィラの計画が複数物件進行中。そこで新たに那覇国際通りに沖縄サテライトを設立し、沖縄での設計活動を本格的に開始しています。
Monograph
5月に韓国のEqual BooksよりAPOLLO初のモノグラフが発売される予定です。
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